海外FXが超人気です。

今回はそんな海外FXの魅力について解説していきます。

魅力1:幅広スプレッドで歯ごたえのあるトレードが楽しめる

FXをゲームとして例えるなら、スプレッドは難易度設定と同じです。

日本国内業者のスプレッドがイージーモードだとするなら、海外業者はハードモードです。

例えばドル円10万通貨で取引した場合、スプレッドが0.3pip違えば売買するたびに300円のコスト差が生まれます。

取引を1,000回繰り返せば30万円も余計な売買コストを負担することになります。当然、スプレッド差が広がればその分コスト差も拡大します。

FXをマネーゲームと呼ぶ人もいます。簡単なゲームではつまらないという人には海外業者がおすすめです。

狭いスプレッドでトレードするような軟弱者との違いを見せつけましょう。なお、私はゲームが苦手なので国内業者を使わせていただきます。

魅力2:通信遅延で世界とのつながりを体感できる

海外業者の取引サーバーは基本的に日本国外に存在します(日本国内にサーバーを置いている業者もあるかもしれませんが、私は知りません)。

サーバーとの通信時間というのはあまり意識されないかもしれませんが、細かい値動きを狙った取引をする場合は重要です。

あるツールを使ってms(ミリセカンド、1000分の1秒)単位でサーバーとの通信時間(ping応答速度)をグラフ化してみました。測定元は私の所在地(日本国内)で、環境は光回線です。

ping差は往復の数値なので、これが200ms以上あるということは通信だけで余計な時間が往復0.2秒以上必要になるということです。

つまり、業者側が配信したレートは片道0.1秒遅延して日本在住ユーザーに届き、それに反応して客が出した注文は更に0.1秒遅延して業者に届くことになります。

スキャルピングのような細かい値動きを狙う人には非常に不利な取引環境と言えます。(自動売買なら業者サーバーと距離の近いVPSを借りることで通信遅延の問題は軽減できます。)なお、これは通信時間だけなので、業者サーバーでの処理時間は別途考える必要があります。

オンラインゲームの経験者ならわかると思いますが、200ms以上のpingというのはラグが酷くてプレイに支障をきたすような状態です。

画面がカクカク動いてまともな試合になりませんが、世界の裏側と繋がっていると思えばグローバルなフィーリングでポジティブにアンダースタンドすることがポッシブルかもしれません。

なお、私はゲームを有利に戦いたいので国内業者を使わせてもらいます。

誰が確認したか分からないNDDがミステリアス

海外ではNDDを採用していると説明しているFX業者の比率が高いですが、その理由は幾つか考えられます。

  • ホワイトラベル(後で説明)の提供元がNDDだと言っているので、自社もNDDと説明している。
  • NDDと言っておけばスプレッドが広くても、スリッページが発生しても、約定拒否が発生しても、インターバンクのせいだと言って逃げられる一方、DD業者は悪い呑み業者というイメージを使って広告が打てる。
  • NDDが良いと思って、本当にNDDを採用している。

ホワイトラベル(後で説明)の提供元がNDDだと言っているので、自社もNDDと説明している

【1】のホワイトラベル(以下、WL)というのは、事業運営の骨格を貸し出して、貸出先から手数料を得るというビジネスモデルです。

金融商品取引業者をゼロから立ち上げようとした場合、トレードツール、約定決済システム、顧客管理システムなど表から裏まで様々なシステム開発費用と期間が必要になりますが、WLと契約すればその負担が軽減されます。

「白いラベル」という意味のWLは、利用する企業が独自のサービス名(ラベル)をつけて運営することができるということです。

胴元となる業者がラーメン屋を開業したい人にスープと麺と食器を提供し、好きな屋号と看板を付けて営業させて、代わりに手数料を受け取るような仕組みです。

以前は、日本のFX会社でも他社のWLとして運営していたところがありました(今は知りません)。

WLの提供元がNDDだと言っていれば、それを利用する会社もNDDだと言って宣伝するでしょう。しかし、本当にそれは正当なNDDなのでしょうか。

NDDと言っておけばスプレッドが広くても、スリッページが発生しても、約定拒否が発生しても、インターバンクのせいだと言って逃げられる一方、DD業者は悪い呑み業者というイメージを使って広告が打てる

【2】は【1】にも関連していますが「NDDはインターバンク直結なのでスプレッドが広くても仕方ない」という言い訳めいた説明を見ることがあります。

本当にNDDならば、確かにスプレッドを狭くするのは難しいです。

ただし、その業者が本当にNDDだということは誰かが時々確認しているのか、大きな疑問が残ります。

過去には、NDDと言いながらカバー先の子会社でDDモデルを使って利益を稼ぎ、その金を親会社に還流していた大手FX会社が米国で処分を受けています。

日本人を対象に営業を行っている海外FX会社は金融規制の緩い国でライセンス登録していることが多いです。

そのうちの一つがセーシェル共和国です。セーシェルは2018年の調査で人口約96,762人(リンク先:外務省)で、日本で言えば岩手県花巻市や福岡県宗像市ぐらいの人口規模です。

主な産業は観光業、漁業、農業とのことです。きっと観光で行けば素敵な体験ができるでしょう。

しかし、セーシェルという国自体を悪く言うつもりはありませんが、いくら何でもこの国の行政機関に十分な金融検査能力があるとは思えません。

私が調べた限りセーシェルでは中央銀行が金融機関の監督機能も兼ねているようですが、

NDDだと宣伝している業者が適切にNDDを運用しているのか、個人で調べるのは難しく、行政機関の力が必要です。セーシェルがどういった金融機関の検査体制なのか、海外FXユーザーの皆様はご存知なのでしょうか。

NDDが良いと思って、本当にNDDを採用している

最後の【3】ですが、NDDだと言っている海外業者のうち、どれだけがNDDを正当に運用しているのか筆者にはわかりません。

しかし、セーシェルやバヌアツなどの小国でライセンスを取得する業者が「公平性や透明性」のためにNDDを採用するという理屈は全く理解できません。

そんなに公平性や透明性が大事なら、まともな国で免許を取って運営すればいいはずです。

厳しい監督機関に隅々まで調べてもらえば良いではないですか。法令遵守意識の低い業者が「公平性や透明性」のために「NDD」を採用するというのは最高の皮肉です。

日本やアメリカなら、当局による金融機関の検査というのは本当に厳しいもので、時には検査官が事前通告無しに乗り込んできて会社の資料を調べることがあります。

その際、顧客の取引記録などを開示できなければならないし、不正が発見されれば行政処分を受ける可能性があります。セーシェルはどうなのでしょうか。

いや「それでも自分は海外業者のNDDが良い」という人もいるでしょう。素晴らしい勇気を讃えたいです。なお、私にはそんな勇気はないのでおとなしく国内業者を使わせてもらいます。

他の魅力:レバレッジ、ゼロカット、税制、出金、個人情報

既に記事が長くなったのでここから先は簡単にまとめます。

海外FXは税制面で不利だし、出金トラブルが起きることがあります。

また、個人情報に関する法整備がない国なら、個人情報がどこに流れるかわかりません。顧客資金の分別管理(信託銀行)も怪しいところが多いです。信託銀行が開示できないというのは一体どういう冗談なのでしょうか。

中には「日本人スタッフがいるから安心」といった紹介記事もありますが、一度立ち止まって冷静に考えてください。

その日本人は「無登録の海外FX業者が日本人を対象に営業することが違法であると知りつつ働いている人間」です。

日本語の苦手な外国人が不注意で法を犯しているのではなく、意図的に違法営業に加わっているのです。なぜそういう人がいる組織にあなたの大事な金と個人情報を渡すのでしょうか。何か深刻なトラブルが起きたら現地まで行って裁判するのでしょうか。

レバレッジに関しては議論の余地があるかもしれません。

これに関しても業者の実態がNDDではなく呑み業者であるという可能性を考えれば色々と推測することができます。

本当にNDDなら収益源は毎トレードごとの手数料(マークアップ = スプレッド上乗せ分)なので、客には繰り返しトレードをして、こまめに手数料を落としてもらうことが企業としてもメリットがあるはずです。

レバレッジは低めにして、息の長い客になってもらう方が得策です。

それなのに、なぜハイレバレッジで一発勝負が仕掛けられる仕組みになっているのでしょうか。

客が退場したら、それ以上手数料が落ちてこなくなります。わざわざ手間暇と広告費をかけて客を確保したのに勿体ないではないですか。結局、ハイレバレッジを認めているのは、大勝負して負けてくれた方が業者にとって得になるからです。

それならば業者の運営実態はNDDと真逆の呑み業者なのではないかと疑いたくなります。

また、ゼロカット(顧客の残高が赤字にならない制度。海外業者の一部が採用している。英語圏では negative balance protection の方が一般的か)に関しては好意的に受け止める人が多いかもしれません。

レート急変時に自動損切りが間に合わず、赤字残高になる危険を防ぐことができます。

しかし、これもよく考えてみれば、仮に赤字残高が残ったとしても、セーシェルやバヌアツの会社が日本在住者を相手に資金回収しようとしても、手間とコストで諦めるでしょう。

日本の法律を無視している会社が、支払いを渋った日本人顧客を相手に日本の裁判所で裁判を起こすのでしょうか。

そうではなく、最初から回収する意図がないから放棄しているに過ぎないのではないでしょうか。ゼロカットを設定しておけば、客はより積極的にリスクの高い取引に挑戦しますし、派手に負けてくれれば業者の利益になります。顧客サービスのためというより、業者の利益のために設定しているのが実情でしょう。

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